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    その子供染みた好奇心に輝いている横顔は、この老人の胸の奥から恐らくその年齢と調子を合せてゆつくりと流れて来る悦びのためもあつたらう。その悦びの源泉はもとより房一にあつた。

    「うん、何かア」

    やゝあつて徳次が訊いた。

    「あゝ、高間さんの奥さん。――さうですね」

    御大典とそれにつゞく奉祝日は瞬またゝくまに過ぎ去つた。

    本堂と庫裡とをつなぐ板敷の間で、ずば抜けて背のひよろ長い、顔も劣らずに馬面うまづらの、真白な反そつ歯ぱのすぐ目につく男が突立つていた。

    と、房一は机の上に虫の卵の形を書いてみせた。

    「さう。――いゝやうだ」

    「この人はちっと眠むがってるでな……」

    「さうですつてね」

    「別に何日からでもないんです。今日からでも――」

    「僕はクレーが済んでから行つたんでね、もう終りで相沢の馬が勝つところだけをちよつと見たよ。――相沢、得意さうだつたぢやないか」

    「分家の当主は今は、若い人の代で、たしか喜作といふ筈ですが、あれも随分永いこと県外に出ているさうですな」

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